歴史的な瞬間を撮影したのは、ニューヨーク在住で映像関係の仕事をしている日系アメリカ人の杉本慧さんです 。
世界を揺るがせた2001年9月11日のアメリカ同時多発テロから、23年を迎えました。テロリストがハイジャックした旅客機2機が世界貿易センタービルのツインタワーに突っ込んだことでビルは倒壊。ニューヨーク市の統計によると2753人が命を失いました。その瞬間を捉えた未公開映像が、2024年7月にYouTubeに投稿されました。9月までに約100万回も再生されています 。
「やばいやばいやばい!」日本語で驚き戸惑う声も
この凄惨な歴史的映像は、ニューヨークで映像関連の仕事をしている杉本慧さんが撮影したものです。過去に撮影したビデオテープの山に埋もれていましたが、最近になってデータをPCに取り込みました。それをきっかけに、自身が運営するYouTubeチャンネルに投稿したのだそうです。映像の中では、救急車かパトカーのサイレンがひんぱんに鳴る中で、莫大な煙を吐き出すツインタワーのうち南棟が、わずか数秒で原型を留めない姿に崩れ落ちます。その後、残された北棟も崩壊しました。その衝撃的なシーンを見た杉本さんの友人たちが、「やばいやばいやばい!」「ウソーー!!」「下にいるやつ全部死んじゃうじゃん」と日本語で驚き戸惑う声が収録されています 。
2機目の旅客機が衝突する様子を見て「これはただごとじゃない」とビデオ撮影
この映像を撮影した杉本さんは7月、BuzzFeed Japanの取材に応じました。同時多発テロ当時、24歳だった杉本さん。9月11日の朝に路上を歩いていたところ、多くの人が騒いでいるのを見かけました。その視線の先にあったツインタワーのうち1つから煙が出ていることに気がつきました。急いで自分のマンションに戻り、屋上で友人たちとツインタワーを見ていたところ、もう1棟に旅客機が突っ込むのが見えました。「単なる火災ではなく意図的なものだ」「これはただごとじゃない」。外出先で撮影するのが趣味だった杉本さんは、Sony VX2000というビデオカメラで撮影を始めました。「ありったけのバッテリーを持っていきましたが、持つか心配でした」と振り返ります。そこから約1時間にわたって撮影を続ける間に、2棟のビルは崩れ落ちたそうです。「まさかビルが倒壊するとは思わなかった」と話しました。杉本さんは当時、警察署にビデオカセットのコピーを持参しましたが、パニック状態にあった署では相手にしてもらえませんでした。そのため、この映像もごく親しい友人に見せる程度だったそうです。YouTubeには「アメリカ大統領選などに絡めた政治的な動機ではなく、純粋に一つの歴史の記録になれば」と思って投稿したそうですが、「多大な反響があったことに驚いている」と打ち明けていました 。
※7月30日に掲載した記事を元に再構成しました 。
【動画】杉本さんが撮影した世界貿易センタービルの崩壊の瞬間
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歴史的な瞬間を撮影したのは、ニューヨーク在住で映像関係の仕事をしている日系アメリカ人の杉本慧さんです。
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