富山県魚津市の「魚津水族館」を訪れた投稿者さん。水槽を見ると、故障した造波装置の代わりに「スタッフが人力で波を起こします」という衝撃の説明が …… ! 魚津水族館に、老朽化対策についてのお話も聞いてみました 。

国内で最も古いと言われ、老朽化の問題を抱えている富山県魚津市の「魚津水族館 」 。

見学に来た投稿者さんが水槽を見ると「40年間、波を起こし続けてきた造波装置が、ついに寿命を迎え故障しました」という「お詫び」の看板がありました。その横には、あまりにも力技な解決策が …… ! ?

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富山県魚津市の「魚津水族館」を訪れた投稿者さん。水槽を見ると、故障した造波装置の代わりに「スタッフが人力で波を起こします」という衝撃の説明が……! 魚津水族館に、老朽化対策についてのお話も聞いてみました。

スタッフの努力と解決策が気になる、水族館の写真が話題です 。

水族館『造波装置が老朽化で壊れました……ですが……!今回に限り……!!』pic.twitter.com/SgbemdtQrq

話題になっているのは、魚津水族館の水槽に貼られていた「お詫び」の掲示物です 。

造波装置故障のお詫び文/ 北瀬みくじさんのXより

VTuberの北瀬みくじさん(@Kitase394)が、8月14日に撮影しています。同日、X(旧Twitter)に投稿すると、「力技すぎる」と約13万件の「いいね」が集まりました 。

お詫びの内容は「40年間、波を起こし続けてきた造波装置が、ついに寿命を迎え故障しました」というもの。「当面の間、波が起きませんがご了承下さい」とも書かれており、水槽の装置が故障していることがわかります 。

しかし、その横には「時々スタッフが人力で波を起こします」という衝撃の一文が …… !

人力で波を起こすという説明 / 北瀬みくじさんのXより

横に添えられた魚のイラストが「がんばれ~」と応援している姿も良い味を出しています 。

スタッフが人力で波を起こすという予想外の解決策にSNSでは 、

💬 「 力技すぎるんだぜ 」

壊れてしまった造波装置(提供:魚津水族館)

💬 「 スタッフさん頑張ってください ~ 」

💬 「 壊れた機械の代わりに人力でなんとかするの好き 」

💬 「 どういうタイプの人力になるのか気になる 」

波の水槽の全体図(提供:魚津水族館)

💬 「 みんなどこも施設の老朽化と維持費工面の難しさに苦労してるんだろうなあ …… 」

など、スタッフの努力を応援する温かい声が寄せられました 。

また、老朽化を心配する意見や「結構通ってるけどまだ見たことがない」など、実際にどうやって波を起こしているのかが気になるという疑問の声も 。

交換する前の古いブラインチラー(提供:魚津水族館)

投稿者さんも、残念ながら「波が起きているところは見ることができませんでした」とのことでした 。

どうやって波を起こしてる?→実は飼育員さんが自力で……

どのように波を起こしているのかが気になったBuzzFeed編集部は、魚津水族館の担当者さんに聞いてみました 。

――壊れた造波装置は40年間使用し続けていたそうですが、どのような用途で使っていた物なのでしょうか ?

「 魚津水族館の開館当初からある『波の水槽』の造波装置です。3年程前に波を起こすモーターと連結した金属製のアームが腐食によって折れてしまったのが故障の原因となっております 」

交換した新しいブラインチラー(写真提供:魚津水族館)

老朽化して壊れてしまった造波装置

――「波の水槽」では、どのような魚が見られるのでしょうか。また、看板を設置されたのは、いつごろなのか教えていただけますか 。

「 『 波の水槽』は春の魚津市を海から見た風景を表しています。魚津水族館の目の前の浅海で暮らすマアジ、クロダイ、ズズメダイなどを展示しております。看板は造波装置が壊れた直後にその時に担当していた飼育員が貼りました 」

「波の水槽」の全体図。左側に、お詫びの看板が見えます

――「時々スタッフが人力で波を起こします」と書かれていましたが、具体的にはどのような方法で波を起こしているのでしょうか ?

「 およそ30センチのバケツの蓋に、塩ビ管を取り付けた飼育員手作りの道具(お風呂をかき回す道具のようなもの)を上下に動かしてうねりを再現します 」

・・・・・・

ひびが入ってしまった水槽(提供:魚津水族館)

公式サイトによると、魚津水族館は大正時代の1913年に創業 。

「 現存するなかでは、国内最古の水族館」とNHKニュースも報じています 。

現在の建物は2回の建て替えを経た三代目(1981年オープン)ということですが、今年で43年も経過しているため、老朽化に悩まされている建物でもあります 。

水槽の赤枠部分(提供:魚津水族館)

話題になった造波装置も、故障したのは3年前の2021年。魚津水族館によると「いまのところ更新の予定はありません」とのことでした 。

国内最古の水族館はどのように老朽化対策をしているのか

施設の老朽化対策について聞いてみたところ、魚津水族館では「維持管理に優先的な箇所から順に更新しているのが現状です」と、例を挙げて答えてくれました 。

たとえば、現状維持管理に必要で更新されたものとしては、水を冷やすための「ブラインチラー」という装置があります 。

こちらは、1998年から稼働していたものが老朽化したため、2024年に更新されています。なんと26年もの間、使われ続けていました 。

魚津水族館外観(提供:魚津水族館)

交換する前の古いブラインチラー(1998年から稼働)

交換した新しいブラインチラー(2024年から稼働)

ほかには、老朽化してひびが入ったまま使われ続けている水槽もありました 。

こちらは、2025年の2月に撤去予定。ひびが入っている部分より上には水を入れられないものの、それまでは現役で稼働している状態です 。

老朽化した水槽。赤枠の部分には、ひびが入っています

黒い線がひびの入った部分。線の多さが年季を感じます

魚津水族館へ訪れる人に向けてオススメの施設も聞いてみたところ、さまざまな施設を教えてくれました。なかでも、屋外円形水槽では2015年に富山湾で捕獲されたとても珍しいチョウザメ「ダウリアチョウザメ」を展示しているそうです 。

また、ミナミアカヒレタビラ、ホクリクサンショウウオ、ハクバサンショウウオ、コオイムシなど、希少生物の保全にも力を入れているとのことでした 。

スタッフの努力と生き物への愛情で老朽化に立ち向かっている魚津水族館。今回の投稿を見て気になった方は、そうした裏側の努力や愛情を想像しながら見学してみると、また違ったものが見えてくるかもしれません 。

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