7月4日、周南市徳山動物園(山口県)に九州自然動物公園(大分県)出身のオスライオン「リント」くんがやってきました。大分県から山口県までどのようにライオンを輸送したのか、動物を輸送する際にはどんな点に注意しているのか、担当の方にお話を伺いました 。
突然ですが、皆さんは「動物園にいる動物といえば?」と質問されたら、なんと答えますか ?
ライオンやトラ、ゾウやジャイアントパンダ、サイやキリンなど、大型の動物の名前を挙げる方も多いのではないでしょうか 。
7月4日、周南市徳山動物園(山口県)に九州自然動物公園(大分県)出身のオスライオン「リント」くんがやってきました。大分県から山口県までどのようにライオンを輸送したのか、動物を輸送する際にはどんな点に注意しているのか、担当の方にお話を伺いました。
それでは動物園でそれらの大型で直接触れることができない動物を輸送する場合、どのような方法で輸送をするのでしょうか 。
BuzzFeedでは今回、九州自然動物公園(大分県宇佐市)から1頭のライオンを迎えた周南市徳山動物園(山口県周南市)に、動物の輸送に関する裏話を聞いてみました 。
リントが入って1ヶ月。動物輸送は数ヶ月前から準備が始まります。輸送に関わる全ての人が、安全かつ無事に移動させることを第一としています今回#九州自然動物公園さんは輸送時ビシャビシャに濡れた毛布を入れてくれました。リントに涼しく過ごしてもらうためです 続#徳山動物園#ライオンpic.twitter.com / G9VtbZ9h2 T
7月4日、周南市徳山動物園にライオンのオス「リント」くんがやってきました。同園では、4月にライオンの「モイカ」くんが22歳で亡くなり、以降ライオンがいない状態が続いていたそうです 。
今回やってきたリントくんは九州自然動物公園にて、2019年7月16日に生まれた5歳の若い個体 。
しかし若い個体といえどライオンは大型の肉食動物であり、とても力の強い動物です。麻酔をかけて眠らせた状態でもない限り、ライオンと人間が同じ空間に入ることはできません 。
それではリントくんはどのようにして、九州自然動物公園から周南市徳山動物園へとやってきたのでしょうか ?
周南市徳山動物園の担当の方に、今回の輸送やリントくんに関するお話を聞かせていただきました 。
――Xに投稿された文章には「動物の輸送は数カ月前から準備が始まる」との記載がされていましたが、今回はいつ頃から、またどのような準備からスタートしましたか 。
「 まずは全国の動物園のライオンの情報収集からスタートしました。年齢や性別などさまざまな条件から徳山動物園に来てほしいライオン候補をピックアップし、その中で動物園同士の相談が行われます 」
「 今回の九州自然動物公園さんのライオンに決まったのは2024年4月ですので、3カ月以上前からのスタートになります 」
――ライオンのように直接触れることができない動物を輸送する場合、どのような方法・流れで輸送をするのでしょうか 。
「 輸送する際は動物の大きさに合った輸送檻に入ってもらいます。動物の性格や年齢等にもよりますが、麻酔をかけて眠らせ検査をした後そのまま檻に収容する、動物自ら檻に入ってもらう等、いくつかの方法があります。収容した後は車や船、飛行機で目的地まで運ばれます。今回のリントの輸送方法はリント自ら檻に入ってもらう方法でした 」
輸送業者さんは、風の流れ等を考慮した檻の置き場を考えこまめに毛布に水を追加してくださいました。当園では受け入れ時の流れを複数回話し合い、現場で動きの確認を行いました。当日は準備物を入念に確認です。そして今回1番の貢献者であるリントは、出園時も来園時もスムーズに動いてくれました 続pic.twitter.com/jodtWrb3yn
――動物を輸送する際、特に気を遣うことはどんなところでしょうか 。
「 動物がケガやトラブルなく、安全に、できる限り負担がかからない短い時間で輸送先へ到着するように対策しておくことです 」
――今回のリントくんの移動は2つの動物園と輸送業者の方が協力して実施したかと思いますが、どのくらいの人数が携わったのでしょうか 。
「 正確な人数は分かりませんが、送り出してくださった方々や輸送を調整してくれた方、輸送してくださった方など、当園の職員も含めて、私が関わった人だけで15名以上はいます 」
いつも感じるのは、このようや大きな出来事の時、私たちは動物たちに助けられることが本当に多いということ。動物たちの動きは本番になってみないと確実には分かりません。色々なパターンを考えてすぐ動けるようにはしていますが、大体すんなり終わります。本当に感謝しかありません。続pic.twitter.com / WHsVVu7s74
――リントくんは新しい住まいに慣れてきましたか。また暑い日が続いていますが、移動疲れもなく元気で過ごせているでしょうか 。
「 最初は展示場の一部しか利用していなかったのですが、日がたつにつれて岩の上など展示場全体を使ってくれるようになりました。好奇心旺盛な性格で、草や段ボールなどのおもちゃをプレゼントすると遊んでくれます 」
遠いところから来てくれた動物たちの魅力を皆様に伝えていくことは私たちの使命の1つ。直接見ていただくことが1番ですが、こういったSNSでも情報をお伝えしていけたらなと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いします。pic.twitter.com/4wfXATW39u
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日本動物園水族館協会に加入している動物園には4つの役割があり、その1つとして動物の「種の保存」を挙げています 。
動物園で暮らす動物の多くは野生から捕獲した個体ではなく、飼育下で繁殖した個体。実は各動物園が協力して動物の保護や繁殖に取り組んでいるのですが、繁殖を考える時は県や国をまたぎ、動物に移動してもらう必要があるケースも少なくないのです 。
今回リントくんの輸送について貴重なお話を聞かせていただき、動物を移動させる際にはたくさんの人、そして動物自身の協力が必要不可欠であることを改めて知ることができました 。
SNSにはたくさんの優しい言葉が✨
こちらの投稿には 、
「 両園のスタッフの皆様のご尽力に感謝致します ✨ 」
「 会いに行くのが楽しみです 💕 」
「 素敵な裏話をありがとうございます ✨ 🍀 😌 🍀 」
「 徳山動物園さんの発信からはいつも本当に大きな愛情と動物への尊敬が溢れていて心が温かくなります 」
「 動物園の皆様と動物に感謝です ✨ ✨ ✨ 🤗 🐈 」
といった、たくさんのコメントが寄せられています 。
本日#リントが初めて展示場に出てくれました。扉からちらりと顔だけ出し様子をうかがうこと3分、ついに展示場へ。まだ数日のお付き合いだけど、優しい表情で食欲満点、152kgと体格も良くスマートで好奇心旺盛、ということは教わりました。これから色々なリントを見せてね#徳山動物園#ライオンpic.twitter.com / FL5f7svWe4
周南市徳山動物園の一員となったリントくんの様子が気になる方は、同園のX(@TOKUYAMA_ZOO)をチェックしてみるとよさそうです 。