映画『となりのトトロ』に登場するちょっと不気味だけど、どこかかわいい“ネコバス”。すっかり人気者のネコバスですが、映画制作中に宮崎監督は一度ボツにしようとしたそうです 。
宮崎駿監督が手掛けた不朽の名作『となりのトトロ』が日テレ系の金曜ロードショーで8月23日午後9時から放送 。
この作品に登場するちょっと不気味だけど、どこかかわいい人気キャラが「ネコバス」。実は宮崎駿監督がボツにするつもりだったのをご存知でしょうか ?
映画『となりのトトロ』に登場するちょっと不気味だけど、どこかかわいい“ネコバス”。すっかり人気者のネコバスですが、映画制作中に宮崎監督は一度ボツにしようとしたそうです。
スタジオジブリ社長の鈴木敏夫さんの著書『仕事道楽 新版 スタジオジブリの現場』では、そんな驚きのエピソードが明かされていました 。
きっかけは同時上映となった“とある作品”
『 となりのトロロ』は1988年に『火垂るの墓』と同時上映されました。『火垂るの墓』を監督したのは、同じくスタジオジブリの高畑勲さん。宮崎監督にとっては東映動画の同僚だった時代からの盟友として、大きな影響を与えている人物として知られています 。
宮崎監督が「猫のバスなんて出してられない」と言った理由とは?
同時上映する『火垂るの墓』が戦争の悲惨さを訴える文芸的な作品になると知った宮崎監督は、鈴木敏夫さん(当時は雑誌『アニメージュ』編集部)に 、
「 鈴木さん、『火垂る』は文芸だよね 」
「 おれも文芸をやる 」
と、突然鈴木さんに宣言したそうです 。
「 えっ、どうすんですか ? 」
と、驚く鈴木さんに 、
「 ネコのバスなんて出してられないですよ、あんなもん出したら文芸作品じゃない 」
と、ネコバスの登場シーンにくわえて、トトロがコマに乗って空を飛ぶ印象的なシーンもカットすると言ったそうです 。
製作委員会の一員として『トトロ』に参加していた鈴木さんは、「ネコバスを出さないでどうやってやるつもりか」と心配になってしまったとのこと 。
「出してられない」ネコバスを復活させた一言とは?
困った鈴木さんは、『火垂るの墓』の監督である高畑さんに相談に行きました 。
「 高畑さん、困りましたよ 」
と、“ネコバスを出さない”と言い出した宮崎監督の話をすると高畑監督は 、
「 もったいないじゃないですか 」
と一言 。
「 もったいない」を引き出した鈴木さんは、宮崎監督に顛末を告げました。すると宮崎監督は「じゃ、出す」と一言。無事ネコバスはボツにならずに済んだのです 。
「 宮さんは高畑さんの一言に弱いんです」と、著書で振り返る鈴木さん。宮崎監督が一目置く高畑監督からの一言で、一件落着したのでした 。
誰もが知る“ネコバス”に、誕生の危機があったとは驚きです。もし鈴木さんの働きが無かったら、『となりのトトロ』は全く違う作品になっていたかもしれませんね 。