コロナ禍のホテル待機で出会った、心癒されるエピソード

あるヴァイオリン奏者が、コロナ禍で体験した心温まる出来事を投稿。SNSに静かな感動を呼び起こしています 。

家の整理をしてたら出てきた 📝 コロナ禍、海外からの帰国者はホテル待機を強いられ数日間部屋から全く出られず。うるさいかなと思いつつヴァイオリン弾いてたけど、最終日夜に配膳された弁当の袋にメモが。今更ながらどなただったんだろうと。温かく受け止めてくださってありがとうございました。pic.twitter.com / RFE5oET89U

白い紙に手書きのメッセージ。長期の隔離の中での感謝の言葉と、今後の観覧をお願いする内容が書かれています。

7月15日、X(旧Twitter)に思いをつづったのは、コロナ禍に一時帰国した際にホテルでの一時待機を余儀なくされたというヴァイオリン奏者の及川悠介さん(@RautavaaraE)です 。

数日間ホテルの部屋から出られなかった及川さんは、消音器を使って部屋でヴァイオリンの練習をしていたそうです 。

待機最終日の6日目の夜のことでした。部屋に運ばれたお弁当の袋の中に、一枚の手紙が。そこに書かれていたのはこんな内容の手書きのメッセージでした 。

本とスマートフォンの横に多肉植物と2つの小さな人形が置かれている。

―――――

【 手紙全文 】

「 長期の隔離の中で貴方の素晴らしい音色に癒されました。本当にありがとうございます 。 」

マクドナルドの店舗外観写真

「 是非これからも観客を喜ばせて下さい 」

「 個人的には、ショーソンとシベリウス、ブラームスを楽しみにしていました。ある隣人より 」

おそらく及川さんと同じくホテルで隔離されていた人から送られた手紙。及川さんのヴァイオリンの演奏に対する感謝の気持ちとともに「是非これからも観客を喜ばせて下さい」という激励の言葉が書かれていました 。

これはフィクションです。行方不明展 7/19(金)~9/1(日) 三越前千福島ビル。

最後には「ある隣人より」と記されており、及川さんは手紙に対して「今更ながらどなただったんだろうと。温かく受け止めてくださってありがとうございました」と、当時の心境を振り返り、感謝を返していました 。

SNSでの反応は?

SNSでは 、

💬 「 心癒される演奏を聴けたお礼の文章にも癒されます 」

💬 「 これは映画化不可避 …… ! 」

階段になっている新5000円札 / 貨幣・古銭チャンネルさんのXより

💬 「 私もご近所から心地よい演奏がきこえてくると窓を全開にして聴き入ります 」

💬 「 こんな風に人に想いを伝えられる人になりたいな、と思いました ☺ ️ 」

など、心打たれた人たちから多くのコメントが寄せられていました 。

藤本美貴さん(時事通信)

「連絡いただければ次は演奏会で」及川さんにお話を伺いました

――こちらはいつ頃のできごとでしょうか 。

2年前、2022年の冬だったと記憶しています 。

――隔離期間はどのくらい続きましたか ?

6日間です。ホテル待機が始まった頃は3日間でしたが、この頃は6日間部屋から出られませんでした 。

インドア派の自分としてもしんどいもので、4~5日目が特にきつかったですね 。

6日目は「もう出られる!」という希望がありました 。

――この手紙を受け取った時の気持ちを教えてください 。

メモが入っていたのは、最後の夕食時でした 。

待機期間中のご飯は決まった時間に配られ、ドア前への配膳が終了すると「取って下さい」というアナウンスが流れます 。

隣の部屋とは少し離れていたので、2~3歩歩かれて私の弁当の袋に入れられたのか、係の方に頼まれたのかもしれません 。

多少なりとも接触になってしまうので今考えれば避けるべきでしたが、もともとホテル待機の私たちは帰国時にPCR検査で陰性が出ていたということもあり、これだけ時間が経っていれば感染の危険性は低かったと思います 。

手紙を受け取った時、あまり長時間弾かないようにしたり音が小さくなる消音器を使用したりといった音対策をしていたので、まさか聞こえていたとは思わず驚きました 。

というのも、私には隣の方の生活音がまったく聞こえておらず、入室時に「壁が厚いから防音はしっかりしているだろうな」と思っていたからです 。

この時弾いていたショーソンは恐らくこんな感じでした。pic.twitter.com/FT1IugSQ2u

ただ、今考えれば反対隣の方にも聞こえていたはずなので「迷惑ではなかったかな」と、今更ながら案じています 。

そしてもらったメッセージを読んで、クラシックに詳しい方なんだと思いました。シベリウスやブラームスの協奏曲はわりと知られていますが、ショーソンという作曲家は存在自体が有名ではないからです 。

しかし、私にとっては大好きな作曲家なので、知っていらっしゃったことがうれしかったんです 。

私はまだ駆け出しの演奏家ですが、少しでも待機期間の助けになっていたのかと思うとうれしい限りです 。

――手紙の書き主さんに伝えたいことはありますか ?

その節はありがとうございました 。

当時は聞こえていると思わず適当な練習をお聞かせしてしまいましたが、もしご連絡いただければ次の演奏会にご招待したいと思います 。

それが叶わなくとも「ある隣人」さんが、これからも豊かな音楽との生活を送られることを願っています !

・・・・・

及川さんは当時を振り返り、「この時弾いていたショーソンは恐らくこんな感じでした」と動画を投稿。こちらにも「隔離中に聴こえてきたら心癒されたでしょうね」「とても素敵な音色」と多くのコメントが寄せられていました 。

おすすめ記事